昼下がりの午後








「琥珀さん」




琥珀絵 霞守



 志貴の声に彼女が制服を翻し乍ら振り向いた。その表情は笑っていて、少し呆けた様でいて、しかし彼女のいつもの笑みとは違う、今まで見たことがないものだった。

「―――志貴さん」

 釦をとめずに前を開いた制服とその表情に志貴の頬は赤らみ、視線を空に這わせていた。ベットの上には琥珀の着物と割烹着が置いてあった。志貴はこのまま眼を合わせないのは琥珀に悪いと思い、視線を改めて向いた。

 今日は日曜日で、琥珀さんが屋敷の掃除をしたいと頻りに翡翠にお願いをしていたが、許可がおりる事は無く、志貴は見ていて可哀想になり、物が少ない部屋なら大丈夫だと話に参加し、琥珀に自室の掃除を頼んだのであった。

「どうしたの?俺の制服なんか着て?」

 掃除をするのにわざわざ制服を着る意味はない。それと、着物にサラシを巻くと云うのは知っているが、学ランにも似合っている。和服には下着を穿かないと聞いたが、さすがに現代では穿くようだ。

 冷静にそんなことを考える志貴である。否。志貴の思考は少しずれ始めていた。気が動転しすぎて逆に落ち着いてしまったのだ。

「あはー。志貴さん、どうですか?」

 琥珀は『笑み』を『笑み』に変えるとそんなことを尋く。




 ―――何を云っているんだ。そんなことは決まってるじゃないか。




「萌えです」

 志貴は親指をグッと延ばし、眼を細め、口許を綻ばせた。




 その後は志貴は琥珀をルパンダイブで押し倒したとさ(マル)




昼下がりの午後 終幕







あとがき


 『月姫ごちゃまぜ!!2 幕の内』を買って読んだら、綾野貴一さんの『彼女が制服に着替えたら』と云うのがあり、琥珀さんに着させたいなぁと絵を書き書き。絵だけじゃなくSSにしちゃおうと思い、ショートショートストーリーとなりました。

 会話が噛み合っていなかったけれども琥珀の目的達成と云うことで。

 私は琥珀さんが一番好きなんですよ(笑)


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